読者からの質問にプロフェッショナルが答える「ベースボールゼミナール」。今回は外野守備編。回答者はゴールデン・グラブ賞に9度輝いた名手、元西武ほかの平野謙氏だ。
Q.コロナ禍が続いています。部屋の中でできる外野守備の練習はありますか。(東京都・14歳)
A.スローイングの動作を確認する意味で野手でもシャドーピッチングはお薦めです これまで何度か部屋で寝っころがって天井に向かってボールを投げ上げる練習を紹介しました。落下地点を予測しながらやり、軌道の確認、また、グラブの出し方(捕る直前に出すほうがいい)の練習にもなりますし、床があるから腕が背中側に入らないので、ヒジから先、さらにスナップを使った投げ方も身につくでしょう。遊び感覚の中で守備力を上げるには効果的だと思います。ボールに関しては、慣れてきたら軟式や硬式でもいいと思いますが、怖さがあるならゴムボールでも十分効果があります。 次のお勧めがシャドーピッチングです。ピッチャーの練習というイメージもあるかもしれませんが、外野手、内野手にも有効だと思います。場所は等身大の鏡があれば一番いいですが、夜なら窓ガラスにも映ると思うので、それでもいいと思います。そういったものが何もなかったら、誰かにスマホで撮影してもらい、確認しながらでもいいかもしれませんね。意外と自分が「こう動いているはず」というものと「実際、こう動いている」が一致しないこともあります。自分の頭で描いたとおりに体を動かす練習と考えても面白いかもしれません。
何も持たない状態で実際のスローイングのように強く腕を振ると、肩やヒジを痛める危険がありますので、タオルなどの端を持って、少し抵抗をつける方法もあります。動きの確認だけに目的を絞るなら、わざとゆっくりした動きでやってみてもいいかもしれません。グラウンドでの練習の予習、復習にもなると思います。 大切なのは、ただの反復練習にしないことです。何も考えず体を動かしても体に動きを覚えさせる効果はあると思いますが、間違った動きをしていたら、間違った動きを覚えてしまいますし、そもそも効率が悪いでしょう。常に実戦を頭に想定し、外野守備中にボールが来たものを正しい姿勢で捕球してからフットワークも使ってスローイングという流れにしてください。しっかり体の割れをつくってから腕を振るのは忘れないようにしましょう。鏡などがあるなら、割れをつくったときに静止して、体がちゃんと横になっているか、グラブが前に出ているか、投げ手側の腕が背中に入っていないかなどを確認してみてください。 実戦的なグラウンドでの練習はもちろん大切なのですが、どうしても動きの中で雑になってしまうところがあります。その動作の確認として部屋の中のシャドーピッチングは最適ではないでしょうか。 ●平野謙(ひらの・けん) 1955年6月20日生まれ。愛知県出身。犬山高から名商大を経て78年ドラフト外で中日入団。88年に西武、94年にロッテに移籍し、96年現役引退。現役生活19年の通算成績は1683試合出場、打率.273、53本塁打、479打点、230盗塁。 『週刊ベースボール』2021年3月1日号(2月17日発売)より 写真=BBM
週刊ベースボール
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