「自社メディアの検索流入が下がってしまったけど、何から手をつけたらいいかわからない」。そんな時は新規原稿に手を出すよりも、まずは既存コンテンツの改善施策から始めることをオスススメする。ディスクリプションやパンくずの見直し、本文のリライト、UX改善だけでも、かなり検索流入がV字回復することがある。
かつて140万PVあった流入数が60万PVまで落ちた時、この方法で一気に100万PVまで持ち直したのが、ジュニアサッカーの保護者向け情報サイト「サカイク」だ。「サカイク」編集部の佐藤茜氏と、施策をお手伝いしたFaber Companyの前田絵理が、具体的な施策をステップごとに紹介する。
各ステップのポイントは次のとおり。
ステップ1(第1フェーズ) | タイトル・ディスクリプションの修正、不足トピックの追加 |
ステップ2(第2フェーズ) | 監修者PROFILE改善、検索意図1つに1記事に改善、ペルソナの設定 |
ステップ3(第3フェーズ) | 可読性強化、ページ構造の改善 |
ステップ4(第4フェーズ) | ページ速度の改善、画像の最適化 |
株式会社イースリー「サカイク」編集部・佐藤茜氏(左)と株式会社Faber Company カスタマーサクセス&マーケティングチーム・前田絵理氏(右)
SEO初心者が「半減した流入数のリカバリー」に挑戦
――「サカイク」はどんなメディアですか?
佐藤茜氏(以下、佐藤): サッカーを通して、子どもたちの自立に向けて必要な「社会で生きる力」を養ってほしいと立ち上げた保護者向けサイトです。収益は広告とイベント、さらに東京・大阪・東北地方などで季節ごとに行っているキャンプです。サッカーの練習に取り組みつつ、子どもたちに主体性・自律性・コミュニケーション力などを身に付けてもらうことを目指しています。
同時に、誤った指導方法が蔓延していることもあり、成果の出るトレーニング方法などもお伝えしています。
サッカーを通した教育がテーマの少年サッカー(ジュニアサッカー)保護者向け情報サイト「サカイク」。インタビューなどの読み物、動画付きの練習方法解説なども人気
――サイトの目標や成果指標はどこに置いていますか?
佐藤: 記事を読んでもらうことです。メディアとしては、スポーツ関連企業をはじめ、各種企業に広告出稿をしていただく上で、PV数が大きな判断材料になります。
しかし最盛期は月間140万PVあったのですが、徐々に減り、私が担当になった頃は60万PV。半分以下になっていました。そんな中、とにかく「PV回復」が私の入社時のミッションでした。
――佐藤様はWebマーケティングのご経験がありましたか?
佐藤: いいえ、前職はスポーツの試合速報を配信する記者でした。ニュースはそこにある事実を書くので、SEOを意識したことがほとんどありません。当社では初挑戦でした。でも「サカイク」が主に首都圏にしか影響力がないと知り、まだまだ読者を拡大できるかも! と思い、闘志に火がつきました。そして、偶然出会ったのがミエルカだったんです。
株式会社イースリー「サカイク」編集部・佐藤茜氏
基礎的な取りこぼし解消から着手!
株式会社Faber Company カスタマーサクセス&マーケティングチーム・前田絵理
――導入後、どのような施策から始めましたか?
佐藤: カスタマーサクセス(CS)担当の前田さんに、まずは工数的にライトな「既存記事の改善をしてみたい」と伝えました。
前田絵理(以下、前田): 「サカイク」の記事はストック型が多く、検索順位も11~20位くらいの2ページに位置する“惜しい”記事が多かった。内容も素材もものすごく良くて、ちゃんと有識者に取材した記事が盛りだくさんでした。ただ、たとえばキーワードがタイトルから抜けていたり、ディスクリプションがなかったり…。本当に基礎的なことを取りこぼしている。この「もったいない現象」をちゃんと解消すれば、効果が上がるはずだと思いました。
そこで「PV回復プラン」として、既存200記事を4段階で改善する施策ロードマップをご提案しました(冒頭の再掲)。
ステップ1(第1フェーズ) | タイトル・ディスクリプションの修正、不足トピックの追加 |
ステップ2(第2フェーズ) | 監修者PROFILE改善、検索意図1つに1記事に改善、ペルソナの設定 |
ステップ3(第3フェーズ) | 可読性強化、ページ構造の改善 |
ステップ4(第4フェーズ) | ページ速度の改善、画像の最適化 |
ステップ1(第1フェーズ)タイトル・ディスクリプション修正、不足トピックの追加
前田: まず第1フェーズでは、「タイトル、ディスクリプション修正」「不足トピックの分析・追記」から進める提案をしました。
ユーザーの興味に合わせ、タイトルを修正
――具体的にどう改善していかれたのでしょう?
佐藤: タイトル要素の改善案など、改善対象ページへの打ち手を提案する機能を使い、タイトルに何を入れるとユーザーが興味をもちやすいかを分析し、改善していきました。
不足トピックの分析・追記
佐藤: また、愛されるコンテンツにするためには、検索ユーザーの意図に応えた内容を提供することが何より重要だと伺って、既存の記事に不足しているトピックを分析し、コンテンツ改善を進めていきました。
パンくずと文字の大きさも地道に改善
佐藤: そして第1フェーズの完了後に、「ユーザー属性に合ったサイトデザインになっていないので、UX(ユーザーエクスペリエンス)の改善をしませんか」とのご提案を受け、パンくずリストを直したり、文字サイズを大きくしたりをしました。大手ニュースサイトと同じ大きさのフォントに変えたのです。
ユーザーには40歳以上の方も多く、スマートフォンユーザーも多いため、読みやすさを意識した改善はかなり効果があった印象です。たとえば「少年サッカー」というキーワードで記事が検索順位1位(2019年7月)になり、その後、同キーワードでメディアのTOPページが1ページ内に表示されるようになりました。
前田: パンくず構造を適切に見直したことで、検索エンジンにもユーザーにも、「少年サッカーに関連するテーマが網羅されている質の高いサイトだ」と認識されるようになった可能性がありますね。回遊もしやすくなったと思います。
各記事に適切なディスクリプションを設定しクリック率上昇
――ほかにも効果を感じた記事を教えてください。
佐藤: 「速く走る」というワードで検索順位1位になったこちらの記事です。
佐藤: 最初はメタディスクリプションを設定しておらず、検索結果上にはサイト内の一部のテキストが代わりに表示されていました。前田さんのアドバイスをもとに各記事に適切なディスクリプションを設定していったところ、検索結果に徐々に反映されて、クリック率が上がっていきました。その後しばらくして検索上位にも表示されるようになったのです。
ステップ2(第2フェーズ)監修者PROFILE改善、検索意図1つにつき1記事とする改善、ペルソナの設定
E-A-T、ユーザーの検索意図にも応えるコンテンツに
――メダリストの為末大選手にインタビューした既存記事を改善されたんですね?
前田: 佐藤さんは元々報道の現場にいらっしゃったので、きちんと取材し、本質的な記事を制作することに長けておられます。男子400mハードル日本記録保持者の為末大選手にインタビューし、具体的なノウハウをまとめた記事でしたが、ほんの少しの検索ユーザーに合わせたエッセンスを加えるだけで、改善できました。
第2フェーズで行ったのは、こうしたユーザーの検索意図に合った記事に改善したり、オリンピック選手が登場する記事の価値を最大化することです。
前田: Googleの『検索品質評価ガイドライン』にも掲載されているE-A-Tのコンセプトにもしっかり応え、きちんと検索エンジンが認識できるように工夫さえすれば、よりユーザー意図に応じた記事になるはずだと思っていましたが、そして狙いは当たり。驚異的にPVが伸びました! また、著者紹介のほか、関連記事への内部リンク設置にも力を入れました。
- Expertise(専門性があること)
- Authoritativeness (権威があること)
- TrustWorthiness (信頼できること)
特定のペルソナに向け「これ読んでみたいでしょ?」の目印をつける
佐藤: 中身が良くても読まれなければ意味がない。前田さんから改めて、記事で大事なのは「誰に、何を、どう伝えたいかというコンセプト」だと気付かされました。Webはどんどん新しい記事が流れていきます。検索ユーザーに選んでもらうには、タイトル、ディスクリプションにわかりやすく「これ読んでみたいでしょ?」という目印をつけるイメージですね。
――「誰に」の部分をしっかり意識したことが大きかったと?
佐藤: 「10歳の壁」の記事(記事タイトル:サッカー少年少女にもある「10歳の壁」。伸びない子は親を見ればわかる!?/花まる学習会代表・高濱正伸)は、「子どもをどう育てるか?どうやったらサッカーがうまくなるか?どう自信をつけさせるか?親はどうあればよいか?毒親になりたくない、子どもをつぶさずに伸ばすためには…」と考えている親御さんに向けて、教育界で有名な有識者にインタビューした記事です。
タイトル・ディスクリプションとパンくずなどの修正で評価が上がったのは、「少年サッカー 親」で検索するユーザーの意図を強く意識して執筆していたからかなと。
――ペルソナを最初からかなり絞っていたのですね。
佐藤: はい。「サカイク」を読むユーザーの多くは35~45歳。特に40歳前後の共働きのご両親で、母親はパート・アルバイトの時短勤務の方が多い。父親はご自身にサッカー経験があり、子どもを誤った指導方法でつぶさないために、もしくは、サッカー経験がないからどう接するのが良いか悩んでいる、というペルソナを設定して書いています。
前田: 一方で、「速く走る」に関する記事(記事タイトル:速く走るための方法とは? すぐにできる3つの練習法を陸上メダリスト為末大選手が伝授!)は、サッカーをお子さんにやらせていない親御さんたちにもお届けできるかと思い、5月の運動会シーズンに間に合うよう直していただきました。3月に記事改善して、狙い通り運動会シーズンに入る前に検索上位に表示されましたね。
記事改善について熱く語る佐藤茜氏
時期を先読みして記事改善。ベストタイミングでSNS発信
佐藤: 「サカイク」はソーシャルメディアからの流入も非常に多く、SNSの発信も重要です。前田さんにアドバイスいただいた通り、改善した記事をSNSにも投稿しました。
前田: いまのSEOはポジティブなサイテーション(引用・言及)の確保が大事です。流通チャネルも多いほどアクセスは安定します。SNSファンが多いメディアは、記事のアップ時期や出し方を考えて活用したほうがいいですね。
佐藤: 過去記事で改善したものは10本くらいSNSに上げ直しました。ユーザーも投稿へのリプライで「子どもが抱えている問題の答えがほしい」という悩み相談、「記事のここに共感した、自分たちはこうした」といった体験を共有してくれます。
普遍的な悩みごとって限られているので、季節ごとに何度でも上手に出せば反応が返ってくる。だからコンテンツは「財産」だと思います。
ステップ3(第3フェーズ)可読性強化、ページ構造の改善
URL変更やhタグの見直し、画像圧縮と次々に改善
――第3フェーズ以降は何をしたのですか?
佐藤: 新規記事を作るのと並行して、さらに前田さんからもらった改善策を進めました。
前田: hタグやURL構造の見直しや画像サイズなどの調整もアドバイスしました。また、サイトの健康状態を知る上で、検索順位を幅広くモニタリングしておくことも欠かせません。最初にいくつかのキーワード群でグループを作って、ベンチマークサイトと一緒にモニタリングできるようにしておけば、分析もしやすいです。
佐藤: これを聞いて「早く走る」系、「怪我」系、「自信をつけるなど自立」系のキーワード群を新設しました。
――しかし、このフェーズごとのやること一覧表を見ると非常に地味な改善ですね。
前田: そうです。でも、リンクや構造、コンテンツ内のテキスト、画像、動画、デザインなど複合的要素を組み合わせてメディア運営をしていかないと、ユーザーの利便性も向上しませんし、最終的にはメディアのファンもつきません。
文章から図解・イラストへの置き換えで可読性強化
佐藤: 文章から図解・イラストへの置き換えも印象的な施策でした。
前田: スマホでみたときに画面いっぱいに文字ばかりだったら読むのに疲れませんか?(苦笑) 表や箇条書き、図解イラストを入れるなど、書式を変えていくほうが読み進めやすいので良いです。表や箇条書きは画像ではなく検索エンジンに伝わりやすいようにtableタグを使ったり、liタグを使うことを推奨しています。
佐藤: 見た目に変化をもたせることは、記事を読み進めてもらう工夫ですよね。
前田: はい。「サカイク」の読者層は通勤やお迎え、ご飯を作ったりと忙しいので、短時間で理解ができる工夫が大事だと思いますね。
「サカイク」の読者層を考慮した施策を提案していった前田絵理
ステップ4(第4フェーズ)ページ速度の改善、画像の最適化
佐藤: 改善を繰り返しながら半年くらいで、第4フェーズまでたどり着くことができました。第4フェーズでは画像の圧縮なども行い、ページ速度の改善も行いました。
佐藤: こうしたフェーズごとの「やることリスト」があったことがとてもよかったですね。なかったら、何から改善してよいかわかりませんでした。
60万PVが7か月で100万PVに回復し、社内で教える側に
――最初の課題であった流入数はいかがですか?
佐藤: 2018年9月に取り組みを開始し、2019年4月で月間PVは100万PVを超えるところまで戻してきました。60万PVに落ち込んだところからの復活だったので、かなり短期間で戻せたと思います。
記事単位では短期で成果が出るものもありましたが、全体では半年ぐらいかけて徐々に伸びていった感じですね。施策の優先度を明確化して取り組んだことが良かったのではないでしょうか。
社内で改善するノウハウも溜まり、効果も出てきています。SEOをまったく知らなかったので、カスタマーサクセスとして前田さんが本当に懇切丁寧に教えてくれて助かりました。
担当になったCS担当と二人三脚で施策を進める
もっとも大切なのはユーザーの気持ちや行動の指針になる記事を書くこと
――今後のメディアの目標は?
佐藤: やっと全盛期のPVに戻ってきたので、これをキープしつつ、弊社の複数あるメディアもこれまでの経験を活かして伸ばしていきたいですね。でも数値はあくまで結果。ユーザーが読みたい内容、求めているコンテンツを探って発信していくことがメディアの使命だと思います。
手段としてSEOがあるだけで何より大切なことは、ユーザーの気持ちや行動の指針になるような質のいい情報を届けることです。
もちろん身につけたノウハウも活かして記事を作っていくので、SEOでどれだけ上位表示できるか、数値がどれだけ伸ばせるか、楽しみです。もしうまくいかなかったら、相談させてください。
前田: はい! 一緒に頑張っていきましょう。
――ありがとうございました。
"ステップ" - Google ニュース
June 17, 2020 at 03:00PM
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