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Tuesday, September 1, 2020

一番重要なステップに金を払わない経営者、だからITベンダーから軽んじられる - ITpro

全2990文字

 前回、熊本の運送業H社において1年間かけてITコーディネータと私が経営者と対話を繰り返した話を紹介した。経営者が自社の業務プロセス改革に目覚め、新たな目で経営変革を進める気になった事例だ。前回は、ITによる新たな業務プロセスをデザインし、ITベンダーに対してRFP(提案依頼書)を出して提案を求めたところまでを書いた。

 実はその後、また新たなドラマがあり、日本のITベンダーの「悩み」と「偏見」を知ることとなった。これから日本全体でデジタルトランスフォーメーション(DX)を進めていくことが急務である中で、大きな障壁だと思うので紹介したい。

 H社は「重たく、精密なものを運び、設置をする」ところまでを請け負う運送会社であり、その独自性により高い収益性を誇る。しかし独自性ゆえに、世に数多くある運送業向けのパッケージソフトウエアがそのままでは使えない。

 私が知る限り、全てのパッケージソフトは1車1ドライバーにより大量の運送をこなすことを念頭において作られている。「複数人のドライバーでチームを組んで搬送から設置までを行う」というH社のユニークなビジネスモデルでの仕事の割り振りには使えないのだ。

 そのせいもあり、注文の受付から配車までのフロントプロセスを紙と人の頭の中で行わざるを得ず、H社は非効率な状態に陥っていた。私たちがデザインした「横便箋システム」は、H社のフロントプロセスをシステム化しようというもので、作業実施後の請求処理などの勘定業務は今まで通り、既存の運送業向けのパッケージソフトウエアを使えばよいとするものであった。

 パッケージソフトウエアを前提としたスクラッチ開発なので、規模的にはそれほど大きなものにならないはずである。そういう思いでRFPを書いた。しかし、この横便箋システムのRFPに対して寄せられたITベンダーの反応は、驚くべきものであった。

 大手ITベンダーは皆「その規模の会社のスクラッチ開発は請けられません」と冷たい反応を示してきた。中には、「スクラッチ開発をするととても高くつくので、うちのパッケージソフトウエアを使えるように業務を合わせたらどうか」とほのめかしたITベンダーもあった。

 一方、地元の中小ITベンダーは「要件定義をお客様と一緒に進めることのできるSEがうちには少なくて……」などと要員不足、人材不足を理由に断ってきた。

 日本のIT産業の第一線とはこういうものなのだろうか。これでは経営者が自社の業務プロセス改革に目覚め、新たな目で経営変革を進める気になったとしても報われない。

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