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Thursday, March 17, 2022

なぜなんだ!? カローラクロス ヤリスクロス ワゴンRスマイル…… 隠れヒット車が本家より人気のワケ - ベストカーWeb


 新規投入されたクルマの名前を見ると、既存の人気車の名称を頭に付けていることがある。2021年に発売された新型車であれば、カローラクロスやワゴンRスマイルなどが思い浮かぶ。

 なぜ既存の車名を付けるのか? 商品企画担当者に尋ねると、理由はさまざまだ。

 カローラクロスは「時代のニーズに応えるため、カローラのプラスαの思想でSUVを開発した。そこでカローラの車名を冠した」という。

 今までにもカローラは、カローラクーペ、ミニバンのカローラスパシオ、4ドアクーペ風のカローラセレスなど、時代に応じて多彩なバリエーションを用意してきた。カローラクロスもその流れに沿っている。

 ワゴンRスマイルについては「ワゴンRのお客様にリサーチしたところ、40%の方が、スライドドアが欲しいと返答された」という。

 カローラクロスはカローラ、ワゴンRスマイルはワゴンRの派生車種だが、売れ行きは「本家」を上まわるほど好調だ。ここでは派生車種が人気を高めた理由を探ってみたい。

文/渡辺陽一郎、写真/トヨタ、スズキ

【画像ギャラリー】本家より人気なのには理由がある!! 隠れヒット車たちを画像でチェック(14枚)

■トヨタ カローラクロス

カローラクロス(199万9000円~319万9000円)…全長4490mm×全幅1825mm×全高1620mm、ホイールベース2640mm、2021年12月販売台数:6290台

 カローラクロスは2021年9月に発売されたコンパクトSUVで、売れ行きは好調だ。2021年11月には7300台、12月には6290台を登録した。

 カローラシリーズ全体に占めるカローラクロスの比率は、11月が54%、12月も53%に達する。かつて主力だったカローラセダンは、11月が650台、12月は600台だ。カローラクロスの9%しか売られていない。

 人気車とされるワゴンのカローラツーリングも、カローラクロスの35%前後に留まる。今のカローラシリーズでは、カローラクロスの売れ行きが圧倒的に多い。

 カローラクロスが好調な一番の理由は、SUVの人気が高いからだ。しかもカローラクロスは、RAV4やハリアーよりはコンパクトで、ライズやヤリスクロスに比べると大きい。

 中間的なちょうど良いサイズになる。最近は同程度の大きさのC-HRが伸び悩んでいることもあり、カローラクロスが好調に売られている。

 そしてカローラクロスの商品的な魅力は、外観がSUVの典型になることだ。今はSUVのカテゴリーが高い人気を得ているので、典型的なデザインの車種が好まれる。

 このボディスタイルは実用性も優れている。天井を少し高く設定して、全長も4490mmとコンパクトSUVでは長いため、後席や荷室の広さに余裕がある。ファミリーユーザーから厚い支持を得た。

 価格も求めやすい。1.8Lノーマルエンジンを搭載する中級の2WD・Sは240万円、ハイブリッドの2WD・Sも価格アップを35万円に抑えて275万円としている。

 割安な価格の背景には、2つの理由がある。1つ目はライバルへの対抗だ。コンパクトSUVには、ヴェゼル、キックス、XV、CX-30などの車種が用意され、競争も激しい。そこでカローラクロスも価格を割安に抑えて対抗している。

 2つ目の理由は、トヨタのSUVラインナップが豊富なことだ。サイズが比較的大きなRAV4も、ベーシックな2Lエンジンの2WD・Xは価格を277万4000円に設定した。

 コンパクトSUVにはライズとヤリスクロスが用意される。こういったSUV各車の価格帯をバランス良く整えると、カローラクロスの価格も自然に決まり、結果的に割安な設定に落ち着いた。

 カローラセダンが低迷する背景には、セダン市場の伸び悩みがある。2021年におけるセダンの最多販売車種はクラウンだが、1か月平均は1784台だ。

 1990年にクラウンは1か月平均で1万7000台を登録したから、今の販売規模は当時の約10%まで縮小された。

 今のカローラセダンは3ナンバー車になったが、グレイスが廃止された今、セダンとしては継続生産されるカローラアクシオの次に小さい。

 後席が狭いといった欠点もあるが、コンパクトセダンでは選ぶ価値が高い。それなのにセダンというカテゴリーの人気低迷により、カローラセダンも売れ行きを下げた。今はどのカテゴリーに属するかにより、売れ行きの明暗がハッキリと分かれる。

■トヨタ ヤリスクロス

 ヤリスクロスは2020年8月に発売されたコンパクトSUVで、2021年には1か月平均で8667台が登録された。

 ベースとなったコンパクトカーのヤリスは8455台だから、ヤリスクロスは、派生車種でありながら販売が好調だ。

ヤリスクロス(179万8000円~281万5000円)…全長4180mm×全幅1765mm×全長1590mm、ホイールベース2560mm、2021年12月販売台数:9450台

 売れ行きが伸びた理由はカローラクロスと同様で、SUVというカテゴリーの人気が高いことだ。

 それに加えてヤリスクロスは全長を4180mmに抑えたから運転しやすく、外観のデザインは力強い。後席と荷室は狭いが、ヤリスに比べれば少し余裕がある。

 高人気の背景には、残価設定ローンの残価率が高く、返済額を安く抑えられることも影響した。ヤリスクロス1.5Zの価格は221万円で、3年間の残価設定ローンを組むと、月々の返済額は均等払いで4万100円になる。

 一方、コンパクトカーのヤリス1.5Zは、価格が197万1000円だが、ヤリスクロス1.5Zと違ってアルミホイールはオプション設定だ。そこでアルミホイールを加えて条件を合わせると、総額は205万3500円に高まる。それでもヤリスクロス1.5Zよりは15万6500円安い。

 ところが残価設定ローンの月々の返済額は、ヤリス1.5Zが4万4000円で、ヤリスクロス1.5Zの4万100円を超えてしまう。

 ヤリスクロスはSUVとあって中古車になっても好条件で売却できるから、前述の通り残価率が高く、残価設定ローンを利用すると返済額がヤリスよりも安くなる場合があるのだ。

 今は残価設定ローンの利用者が増えたので、残価率の高さと返済額も売れ行きに影響する。

 人気車は返済額が安くなって売れ行きをさらに伸ばし、不人気車は割高だからますます低迷する。つまり残価設定ローンは、販売格差を拡大させるのだ。

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