安倍元総理大臣が奈良市で演説中に銃で撃たれ死亡した事件で、逮捕された容疑者は、「火薬はネットで購入した」と供述していることが分かりました。
事件で使用した手製の銃についても、インターネット上の動画を参考に製造したという趣旨の供述をしているということで、警察は詳しいいきさつを調べています。
安倍元総理大臣は、今月8日、奈良市の大和西大寺駅近くで演説中に銃で撃たれて死亡し、警察は、奈良市に住む無職の山上徹也容疑者(41)を逮捕して殺人の疑いで捜査しています。
鉄パイプに火薬を詰めたとみられる手製の銃が使われていましたが、捜査関係者によりますと、調べに対して山上容疑者は「火薬はネットで購入した」と供述しているということです。
容疑者の車からは、火薬を乾かすために使ったとみられるアルミはくがまかれたトレーが見つかっていました。
また、手製の銃についてもインターネット上の動画投稿サイト「YouTube」を参考に製造したという趣旨の供述をしているということです。
警察は、インターネットを通じて事件で使う道具を準備したとみて詳しいいきさつを調べています。
【白煙は花火火薬の特徴か】。
安倍元総理大臣が銃で撃たれて殺害された事件で、容疑者が発砲した瞬間の映像からは白い煙が立ちこめる様子が確認されています。
これについて大阪・泉南市にある銃砲店の清吾倫子社長は「通常の弾であれば煙は出ず、『パン』と乾いた銃声がしますが映像を見た限りでは、白い煙と『バーン』という間延びしたような音がしています」と指摘します。
そのうえで「警察の手続きなどを経て許可証が交付されないと店で弾や火薬を買うことは絶対にできません。映像を見る限り花火などに用いられる黒色火薬の特徴と似ています」と話していました。
また、「練習を重ねなければ目標に当てることは難しいです」としたうえで、「射撃場で練習するには許可証が必要なので、山の中や人がいない場所で練習したのではないかと思います」と話していました。
【火薬販売 規制の現状】。
火薬を入手する際には、一定の規制があります。
経済産業省によりますと、猟銃や射撃、それに打ち上げ花火などで用いる火薬を購入して譲り受けたり、使ったりする際には、火薬類取締法に基づき事前に都道府県など自治体に届け出る必要があります。
猟銃などに用いる火薬を取り扱う専門店では、その許可証を確認したうえで販売していますが、奈良県によりますと、容疑者からの届け出はこれまでになかったということです。
一方で、家庭で使われるような花火や爆竹については、この法律で定められた火薬量の基準を下回る「がん具煙火」として一般に販売され、購入に際して規制はありません。
しかし、花火を解体して火薬を取り出すなどの行為は、製造行為とみなされ、都道府県などの許可なく行った場合は、火薬類取締法違反として罰則が適用される場合もあるということです。
【火薬専門家“規制へ議論必要”】。
火薬や爆発物に詳しい防衛大学校の甲賀誠教授は、「報道されている映像を見る限り、銃撃後に、周りに白い煙が立ちのぼっている様子から使われた火薬は、一般の猟銃などで使われる煙が出ない『無煙火薬』ではなく、打ち上げ花火などに含まれ、白い煙が特徴の『黒色火薬』である可能性が非常に高いと思う。『黒色火薬』を購入する場合は通常、行政の許可が必要だ」と指摘しました。
そのうえで、「『黒色火薬』は、おもちゃの花火などにも少なからず含まれているので、火薬の規制のあり方を議論することなど何らかの対策が必要になると思う」と話していました。
【“試し撃ち”現場を検証】。
8日、安倍元総理大臣が奈良市で演説中に銃で撃たれ死亡した事件で、逮捕された山上徹也容疑者が、事件前日に手製の銃の試し撃ちを行ったとされる現場で、警察は11日、現場検証を行いました。
現場検証が行われたのは、奈良市にある「世界平和統一家庭連合」、旧統一教会の施設が入った建物で、壁やサッシに弾痕のような穴が複数残っていました。
山上容疑者は、これまでの警察の調べに対し、事件前日の未明にこの建物で銃の試し撃ちしたと供述していることが分かっています。
【宗教団体の近くの人は】。
山上容疑者が試し撃ちしたと供述している宗教団体の施設の近くに住む60代の女性は、「7日の午前4時ぐらいにバーンと破裂するような音を1回聞きました。今までに聞いたことがない音でびっくりして飛び起きました。息子は部屋の窓がブルブルと震えていたといっていました。15分後ぐらいに外を見ましたが、煙が上がっている様子もなくにおいもありませんでした。8日の事件の発砲音と近い音でした」と話していました。
また70代の男性は、「その日は朝3時半から4時くらいまでの間にパーンという音を聞きました。近所ではたまにいろんな音が聞こえるので、そんなに意識はしてませんでしたが、とても大きな音だったと思います」と話していました。
【事件から3日 大勢の人が献花】。
奈良市の事件現場近くに設けられた献花台には、11日午後も大勢の人が訪れています。
奈良市では、11日、最高気温が32度を超え真夏日となりました。
午後2時には、献花に訪れた300人ほどが列を作り、日傘を差したり扇子であおいだりして暑さをしのぐ姿もみられました。
大阪から訪れた27歳の男性は、「まさか日本で元首相が撃たれて亡くなるとは聞いたことがなかったので何かの間違いかと思いました。もっとやりたいこともあって無念だろうと思います」と話していました。
また、京都から訪れた女子大学生は、「安倍元総理大臣は日本を変えようという思いが伝わってきたので大事な人を亡くしたという気持ちです。いろいろ思うことはあっても命を奪うことだけはしてほしくなかった」と話していました。
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