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Sunday, July 10, 2022

夢の実現への第一歩。幼稚園の先生になりました - 朝日新聞デジタル

ニューヨーク在住6年目の、久保純子さん。新型コロナウイルスで世界がめまぐるしく変化する中での、ニューヨーク生活。家族や友人との時間、街で見かけたモノ・コト、感じたことなど、日々の暮らしを通して久保さんが見つめた「いまのニューヨーク」をつづります。

「なぜ今、幼稚園の先生に?」

文字通り、私も夏休みに突入した。というのも、今年1月、50歳になったのを機にモンテッソーリ幼稚園で教え始め、毎日通園していたのである。周りからは「どうして今?」「なぜ先生に?」と聞かれるが、実は突然の思いつきではなく、ずーっと長い間温めてきた私の「夢の実現への第一歩」なのである。

自身の歩みに少し触れると、小学校高学年は父の転勤でイギリス・ロンドンに住み、高校は一人アメリカ・ウィスコンシン州とニューヨーク州に留学してホームステイした。言葉や文化の壁は大きく、決して楽しいばかりの海外生活ではなかった。小学生時分の私はとにかくお喋りが大好きな活発な子どもで、4歳上の兄や友達と夕方まで公園や学童保育で遊んでいた。それがロンドンへの引っ越しで一転する。

ロンドンで、英語も授業もわからない小学生ライフ

英語が全くわからない。友達もできない。授業はチンプンカンプン。なんとか楽しい学校生活を送りたいと、当時日本で流行っていた匂い消しゴムや可愛い文房具を学校に持っていき、話のきっかけを作ろうと必死だった。その作戦は功を奏し、1年後には少しずつ皆の言っていることが理解できるようになり、友達もできた。新しい友達の輪は、新しい世界へと誘ってくれた。

夢の実現への第一歩。幼稚園の先生になりました
日本の地元の小学校では、短パンTシャツで日が暮れるまで外で遊んでいたが、ロンドンに引っ越した当初は、言葉が全くわからず、友達もできず。宿題は英語の先生をしている母が手伝ってくれていた。お風呂で「ABCの歌」を練習していたことを今でも思い出す

友達と一緒に歌って踊りながら見た歌番組「トップ・オブ・ザ・ポップス」。初めて食べる「フィッシュ&チップス」に、初めて遊ぶイギリスの「ドールハウス」。今までに触れたことのないものに次々と出会う毎日は新鮮だった。

夢の実現への第一歩。幼稚園の先生になりました
1年ほど経った頃から仲良しの友達ができた。ルーシー、スーザン、メアリー、リンダ、アンジェラ、ジェリー、全員の名前を覚えているが、残念ながら、今どうしているかは分からない。いつの日か再会できればと願うばかり

あの経験があったからこそ、生き抜ける

同様に、高校アメリカ留学時代も、ホームステイ先のホストファミリーとうまく意思疎通が取れず、孤独で、白髪になったり、ホルモンバランスを崩したり、サバイバルな日々だった。それでもあの経験があったからこそ、その後日本に帰って、どんな辛いことがあっても生き抜くことができる強さを体得できたと思っている。

夢の実現への第一歩。幼稚園の先生になりました
高校は、これぞアメリカ!というルーラル地域へ。ウィスコンシン州では人口1000人の街でホームステイし、冬は氷点下10度、雪をかきわけながら徒歩で登校していた。「深呼吸すると肺が凍るから気をつけてね」と言われた時は驚いた

一方で、豪快なアメリカンフットボールや華やかなチアリーディングなど、アメリカならではの学園生活は、映画の中の世界のようだった。振り返ると、小学校や高校で見聞きした文化、言葉、人々が今の私を形作ってくれたと言っても過言ではない。そのすべてに心から感謝している。

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