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Tuesday, May 30, 2023

新福岡県立美術館、隈研吾氏が設計「大きな吹き抜けが今までに ... - 読売新聞オンライン

 福岡市の大濠公園南側に整備される新県立美術館は、世界的な建築家・隈研吾氏(68)の事務所が設計する。日本伝統の建築を感じさせる重層の ひさし を施したデザインが特色で、開館予定は2029年度。福岡の新しい交流・観光拠点の周知を図ろうと、県は来月、市内で隈氏を招いたワークショップを開催する。(原聖悟)

 現在、福岡市・天神の須崎公園内にある県立美術館は、1964年に県文化会館として開館した。85年に全面改装して美術館として再開館。県ゆかりの作家・作品や江戸時代の黒田藩関連の資料、九州の古陶磁など約1万点を収蔵している。

 しかし、建設から50年以上が経過し、老朽化が進行。作品の保存に必要な温湿度管理を行う設備の更新なども必要となっていた。また、元々美術館として建てられていないため、天井が低く、大型作品の展示が困難で、展示室や収蔵室の狭さなども指摘されていた。

 2008年に県が設置した有識者会議が、新美術館建設を提言。その後、交通の便が良く、福岡市美術館など周辺施設との相乗効果が期待できるとして、20年に大濠公園の南側、現在の福岡武道館と日本庭園の一部がある敷地(約2万平方メートル)が、建設地に選定された。

 基本設計については、昨年8月に公募し、39事業者の中から、今年1月に隈研吾建築都市設計事務所に決まった。事務所の資料によると、建物は地下1階、地上4階。公園の景観に溶け込むように、建物の高さをできるだけ低くおさえ、屋根を階段状にすることで圧迫感を低減している。重層の庇が特徴的で、風景と一体となって歴史を感じさせる外観になる予定だ。

 素材には、県産木材や石材などを積極的に取り入れ、県民が親しみを持てる工夫を凝らすという。1階ロビーには、吹き抜け空間「メディアヴォイド」を設け、大型の美術作品も展示可能とした。展示・収蔵エリアも現在の倍以上にするなど、美術館機能も拡充する。着工は26年度の予定で、県は工事費として、約147億円を見込んでいる。

 開館に向けて機運を高めようと、県は昨年8月、専用サイト「新福岡県立美術館が大濠公園にできるまで」を開設した。隈氏のインタビューを公開しているほか、建設地を定点から定期的に撮影し、建設される様子を随時発信していくという。

 県の新県立美術館建設室の 鞘野さやの 義浩室長は「新たな文化芸術の拠点として末永く県民から愛される施設とするため、施設ができる前から広く知らせていきたい」と話している。

 隈研吾氏が読売新聞の書面インタビューに寄せた主な内容は次の通り。

 ――どのような美術館を目指したのか。

 「県民に愛される空間となるような美術館を目指した。福岡は大都会でありながら、海、山等の自然を身近に感じられる街であり、その雰囲気を反映したいと考えた。また、アジアの文化の交差点で日本で世界に最も近い都市ともいえ、その開かれた雰囲気も表現した」

 ――特徴的な大きな庇に込めた思いは何か。

 「庇の下に人々が集まり、賑わいが生まれる。箱ではなく開かれた庇を新美術館の目玉とした」

 ――機能的な部分は、どう設計したのか。

 「美術館として当然持つべき機能は、様々な国で手掛けてきた経験をいかしてしっかりと作っていきたいと考えている。特に力を入れたのは各展示室の中心に位置した大きな吹き抜け空間であるメディアヴォイドで、今までにない展示空間を生み出せればと思う」

 ――県民に伝えたいことは何か。

 「開館まで県民の皆さんと一緒に新美術館を作っていくことを考えており、そのプロセス自体が大変重要なものになっている。ワークショップも開催予定なので、積極的にやり取りをしながら、(開館までの)6年間を一緒に走り抜けられればと思う」

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