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Wednesday, May 22, 2024

“日高山脈襟裳十勝国立公園”7月までに誕生へ 国の部会了承|NHK 北海道のニュース - nhk.or.jp

国内最大規模の原生林が広がる「日高山脈襟裳国定公園」について、国の中央環境審議会は22日、国立公園に格上げして指定することを了承しました。ことし7月までに官報で告示され、名称は「日高山脈襟裳十勝国立公園」となり、道内では37年ぶりに新たな国立公園が誕生します。

環境省は22日都内で開かれた専門家の部会に「日高山脈襟裳国定公園」を国立公園に格上げして指定する計画を示し、全会一致で了承されました。
計画によりますと、新たに指定される国立公園は広大な面積と手つかずの自然が数多く残されていることが特徴で、全体の面積のうち陸上部分は24万5000ヘクタールあまりと国内の国立公園では最大となります。
また、名称は新たに「十勝」を加え「日高山脈襟裳十勝国立公園」となります。
環境省は名称について、「新たな国立公園の区域は十勝側の山麓部も含めて大きく拡大していて、保全管理は日高側・十勝側双方の協力によって成り立つ」などと説明しています。
国立公園の指定はことし7月までに掲載される官報の告示をもって正式に決定され、道内では1987年の「釧路湿原国立公園」以来、37年ぶりに新たな国立公園が誕生します。

【日高町村会会長のえりも町・大西正紀町長の話】
日高地方の7つの自治体でつくる日高町村会の会長を務めるえりも町の大西正紀町長は、役場の執務室でパソコンから配信される環境省の審議会の様子を見守り、国立公園に指定が決まると、ほっとした表情をみせました。
大西町長は、「待ち望んでいた結果なので本当にうれしい。日高と十勝で連携を取って、自然を守りながら、地域に観光客を呼び込み、活性化を図っていくことがこれから大切になる」と話していました。
そのうえで、「国内外問わず、ネームバリューのある場所は、人口が減っている地方にとっては地域を活性化できる1つの要素になると思う。今まで以上に観光客が興味を示して、足を運んでもらえることを期待している。これからどういう形で受け入れ態勢を各自治体が整えるかなど、いろんな部分で課題はあるが、連携を取りながら、いい方向に進んでいけば」と話していました。

【十勝・日高山脈観光連携協議会会長・芽室町・手島旭町長の話】
日高山脈のふもとにある十勝地方の6つの自治体でつくる十勝・日高山脈観光連携協議会の会長で、22日の部会にも出席した芽室町の手島旭町長は「地域活性化という意味でも国立公園化の影響は非常に大きく、住民にも改めて日高山脈の素晴らしさを認識してもらえる機会になると思う。多くの人に来てもらえるような取り組みを進めていきたい」と話していました。

【新たな国立公園の特徴は】
新たに指定されることになった「日高山脈襟裳十勝国立公園」の特徴は、広大な面積と手つかずの自然が数多く残されていることです。
公園の核心部となる日高山脈は南北およそ140キロにわたって連なっています。
国立公園の指定に伴ってエリアが拡大され、全体の面積のうち陸上部分は現在の国定公園の2倍以上で、24万5000ヘクタールあまりに広がります。
大雪山国立公園を上回って国内で最も広い国立公園となるほか、人工構造物や森林伐採などの影響がない「原生流域」の面積も最大となります。
氷河の浸食作用によってできた「カール」や「ホルン」といった地形が道内で唯一存在しているほか、高山植物が見られる「高山帯」の面積も1万ヘクタールを超えて国内有数の規模となっています。
一方、手つかずの自然が多いことから登山道は日高側と十勝側であわせて18本と少なく、深く立ち入るには高度な技術が求められます。
環境省は観光などで訪れる際は山麓部で自然に触れたり、美しい山並みを眺めたりすることが中心になると想定しています。

【国立公園は全国で34か所が指定】
国立公園について環境省は「我が国を代表する傑出した自然の風景地」と定義していて、全国ではこれまでに34か所が指定されています。
このうち、道内には「阿寒摩周国立公園」や「大雪山国立公園」など、6つの国立公園があり、「日高山脈襟裳十勝国立公園」が新たに誕生すれば、1987年の「釧路湿原国立公園」以来、37年ぶりとなります。
国立公園と国定公園はいずれも環境大臣が指定し国立公園は環境省が、国定公園は都道府県がそれぞれ「自然公園法」をもとに管理します。
原則、すべての動植物の採取が禁止される「特別保護地区」など、5つの区域に分けて保護する方法は同じですが、自然保護や観光振興などの施策に国の予算を活用できるようになります。
また、国が認めた「景観ブランド」として、外国人観光客の認知度が上がることも期待されていて、環境省は国立公園を利用する訪日外国人の数を2030年までに年間1000万人にする目標を掲げています。

【帯広局 米澤直樹記者の目】
新たに誕生することになった国立公園。
その魅力である美しい風景や多様な動植物を守るためには、「保護と利用のバランス」が大きな課題となります。
日高山脈は登山道が少なく、高度な登山技術が必要になるエリアも多いため、気軽に立ち寄れる環境ではありません。
だからこそ、国立公園としては最大となる「手つかずの自然」が守られてきたとも言えます。
国立公園の誕生で、地元の自治体には観光の推進につながってほしいという期待があります。
一方、自然保護団体からは生態系などへの影響を懸念し、観光などの利用に偏りすぎることを不安視する声も聞かれます。
環境省は今後、市町村や自然保護団体とともに公園を利用する際の具体的な基準やルールなどを策定することになります。
国立公園を利用する訪日外国人の数を2030年までに年間1000万人にする目標も掲げられる中、立ち入りが難しいことで手つかずの自然が残されてきた新たな国立公園の魅力を将来にわたって守り続けるためにも、日高山脈などの特徴を最大限尊重した計画づくりが求められます。

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