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Sunday, April 19, 2020

新型コロナウイルス・厚生労働省クラスター対策班 西浦博教授インタビュー - FNNプライムオンライン

何も対策を取らなかった場合の死者およそ42万人

4月15日、国内で感染拡大が続く新型コロナウイルスについて、
厚生労働省のクラスター対策班の専門家からある試算が公表された。
政府は最低7割、極力8割の人との接触を減らすよう再三にわかり呼びかけているが、
もし何も対策を取らなかった場合、流行が収まるまでに人工呼吸器などが必要な
重症患者はおよそ85万人、そして死者はこのうちの49%にあたるおよそ42万人に。
FNNは、多忙を極めるクラスター対策班の1人でこの試算した北海道大学の
西浦博(にしうら・ひろし)教授に接触を減らすことがなぜ重要なのか改めて聞いた。

接触6割減ではダメ、ハイリスクの場に要注意

記者:
新型コロナウイルスの感染拡大について一定程度まで抑制できるという期間を改めてお伺いしたい

北海道大学・西浦博教授:
この感染症に関してはまずハイリスクの場、どこで起こっているのかっていうのが、今までわかっていますから、例えばスポーツジムであったり、あるいはライブハウスであったり、いろいろ接待を伴うようなところだったり、居酒屋だったりっていうところで起こっています。まず、そういった場所での接触がしっかりと断たれるということが前提です。その上で、更に人口全体で平均をして、80%程度の接触というのが断たれると、流行が制御下に収められる。少なくとも感染者数、新規の感染者数っていうのは、減少を始めるものだと考えている。

記者:
一方、6割減では感染者数が下がらないとグラフでお示しされていましたが、どの様な理屈でそうなるのでしょうか?

北海道大学・西浦博教授:
欧州ではオーバーシュート、爆発的感染者数の増加っていうのが起こってきた。複数の国で1人あたりが生み出す2次関数の平均値を推定すると、だいたい1人あたり2人~3人ぐらいの二次感染者数を生み出していました。中央値をとるとドイツが2.5人ぐらいです。1人あたりが、2.5人の2次感染者数を生み出す場合、そのうちの0.6、つまり60%の接触が奪われると残りの40%分の接触だけで流行が起こる。1人当たりが生み出す二次感染者数の2.5に0.4を掛けていただいたらわかるんですが、ちょうど1になります。
つまり60%の接触が減っても、1人あたりが1人の二次感染者数を生み出しているんです。どういうことかっていうと、新規感染者数の数で、時刻に対して一定の状態。横にのびるような状態が続く。少なくとも平均のレベルで60%を上回る削減をしないと、感染者数が減らないということを意味しています。

接触を減らす鍵は「テレワーク」と「時差出勤」、企業はトップが決断を

記者:
そういった数字を踏まえて、現在の日本での流行状況と今とられている施策を考えて、接触を減らすことが出来ていない部分が多いと思います。具体的にどういうところを削れば良いのでしょうか?

北海道大学・西浦博教授:
ハイリスクの場が全て断たれてないというのは、大変危険な状態だと思っています。例えば飲食店っていうのは家賃とかもある問題ですから、なかなか自粛として休業というのはできないわけですけど、ちゃんと補償を伴った政策を講じることができれば、そこは手を打つことによって、二次感染が防げるもの、防ぐことができるはずなんです。そういったもので、その二次感染が起こるという場が明確だったならば、そういうところからまず手を打っていくっていうのは、本当は科学的には最も支持される対策だと思います。
一般の人口に関してでも、例えば一般企業に勤めている方っていうのは、まだ企業がオンサイトで、つまりオフィスで仕事をするというような状態が続いている。まだ出社をしている状態。そこに勤めている人にとっては出社せざるを得ない状態なんです。
そこに手が打たれていないと接触っていうのは減らないことになってしまいますので、一向にその状況が改善しないということに繋がってしまいます。
この流行っていうのは、感染者が増えれば増えるほど、どんどん指数関数的に感染者が増えていって、医療機関に対する負荷っていうのも指数関数的には多く大きくなっていくんですよね。それを止めるためには、すぐに劇的な接触の削減っていうのをしないといけないと考えています。

記者:
テレワークと、時差通勤に関しては。

北海道大学・西浦博教授:
テレワークに関しては特に言及しやすいですけども、例えば、今まで5日間オフィスに来ていた人が、そのうちの1回だけオフィスに来て、残りの4日間に関しては、自宅でやる会議とかもWebでやる。というような体制っていうのを大急ぎ作ることができれば、それによっていわゆるその接触の80%減っていうのを、一般企業の人たちで達成していただくっていうことは可能だと思っています。
時差出勤というのが何で役立つかっていうと、満員電車だったり、あるいはその電車を待っている空間だったりっていうような、どうしても濃密な接触で避けられない部分っていうのが、オフィスの人たちというのは、危険にさらされているわけですよね。その出勤をするとかあるいは通学をするっていうような場面で、そのリスクにさらされるわけなんですけど、そのリスクを少しでも軽減する。どうしてもこないといけないという人たちに関してそのリスクを少しでも軽減するための手段ですので、8時から9時に、その出社のピークっていうのが来るっていうのを、何とかしてそのばらけさせるというものが、時差出勤のプリンシプル(原則)なんです。
朝5時から出勤をするというような会社があってもいいと思うし、うちは6時だというところもあってもいい。うちは午後2時からなんだっていうとこもあってもいい。
そういう思い切った通勤時刻の時差をずらすっていうことができると、そういう濃密な接触を、出勤の場面ですることっていうのを、避けることができるようになります。
ただ全体の接触の話でいうとテレワークのような状態を作るっていうのが優先になります。

陥りやすい意外な落とし穴とは…

記者:
ハイリスクは避ける、例えばどういうことならやっても良いのでしょうか?

北海道大学・西浦博教授:
まず1人で、あるいは家族と一緒に出かけて、オープンエアで歩くようなことっていうのは大丈夫です。お散歩でちょっと出かけてお花見をするとか、花見の季節はちょっと過ぎることですけど、散歩というようなものは構わない。
ただし一方で、皆さんがその落とし穴に陥りがちなんですけど、オープンエアだから大丈夫っていうことで外に出たんですけど、その行っている途中でどこかの喫茶店に入ると、で、1時間以上話して過ごすというようなことになるとそれが接触の機会になります。
ということになるので、屋内での接触っていうのが、基本的に断たれないといけないということを皆さんにわかっていただきながら外に出る。あるいはそれは買い物でも一緒です。不要不急の買い物っていうものを、もう一度皆さんで確認しておいてもらいたい。これは生活に必須の物資とかあるいは食料を得るための買い物に限っていただきたい。それで外に出て、屋外に出て、必要だったらしょうがないので商店街に行ってもいいですが。そこで、途中でなんとか茶屋に寄ると、そこでお団子を食べている間に、知らない人たちと向かい合って接触が起こる。そういうような、接触が起こりやすい落とし穴っていうのには気をつけてもらいながら、必須のものをどうしても考えたときに外に出て行ってもらうと、そういう形にしないといけません。

記者:
緊急事態宣言が出てから1週間が経ちました。国民に行動変容を求めている。今の減少具合、削減具合ではどれぐらいの収束を見込まれているのでしょうか。期間と専門家の人たちの危機感というのは?

北海道大学・西浦博教授:
今、欧米相当の接触っていうのと比べると、削減幅が必ずしも十分じゃなくて、とても危機感を持っています。特に企業での接触を避けるっていう努力っていうのがなかなかうまく回っていないというのが実情ですのでその企業は運営が絶対あるいは部署の管理責任をする立場の人たちっていうのに、現実的にどのようにリモートワークができるのかっていうことを真剣にまず検討し、早急に検討してもらわないといけないというのが、
一番大事な部分だとは考えていますし、今の流行時期っていうのはハイリスクの場に行くと感染者も増えてきてますから、あの電波のリスクが十分にあるということを認識して行動していただかないと思っています。

ネットで話題の「8割おじさん」、8割への強い思い…

記者:
ツイッターなどもやられてると思いますが、情報発信の重要性についてどのように伝えられればいいと思っているのでしょうか?

北海道大学・西浦博教授:
まず一時的に私達クラスター対策なんていうのは理系の科学者たちの集団ですので、サイエンスとして正しいものを皆さんにフィードバックするっていうことが一義的な義務だと考えています。ですので、例えば8割の行動の削減なんだったらなぜ8割なのかっていうそのメカニズムも含めて、お話するところまでが一つ。
それから更に専門家の有志の人たちもいますけど、専門家の有志のメンバーで、特に社会科学のメンバーの人たちに期待しないといけない話なんですけど、具体的に接触8割減らすっていうのは、どのようにすれば達成できるのかっていうのを、もうたくさん絵を書いて皆さんに示していかないといけないと思うんですよね。それはクラスター対策班ではないんですけど経済学だったりあるいは行動科学だったりという専門家の方々に今具体的にどんな行動をすると良いのかっていうのを、発信する機会っていうのを少しずつ作っていっていただこうとしているところです。

科学者がやるべき責任の領分から一歩踏み出している

記者:
一部で「8割おじさん」と言われている、西浦先生はどう思われていらっしゃいますか?

北海道大学・西浦博教授:
ははは(笑)。それは押谷先生っていうクラスター対策班のパートナー的にやっている教授が名付けてくれたものではあるんですけれども。
なぜそこまでして、8割っていうのにこだわらないといけなかったのかっていうのを、ちょっと真剣にお伝えしておかないといけないと思っています。
実際に8割の話をするプロセスっていうのがなかなか政治家には決断することが難しかったようです。日本ではその経済活動の停滞とかにも繋がりますし現実的に達成をすることがとても難しいからですね。一方で、その欧州での感染性ですね。1人当たりが2.5人生み出すような感染性だとか性的接触ですよね、セクシャルな電波とかに立ち入れないことだとかを考えると。8割の接触が削減されないとどうもこの流行っていうのはなかなか止められないというのが科学的なフィードバックですので。この機会だけ私は一歩、科学者がやるべき責任の領分から一歩踏み出しています。今8割止めないと止まらないからですね。
なのでいろいろいろんな配慮とかをせずに今8割止まらないからこうやって私がそういう呼称で呼ばれてもいいのでと言っているということを皆さんにわかってもらいたいと思っています。それぐらい真剣に接触が減らないとこの流行の電波が止まらないので。ややもすると、もうワンステップグレードアップした行動制限にならざるを得なくなったりします。それだけは避けたいと思っています。
市民の皆さんには、避けられるようなハイリスクの行動だったり、屋内の接触っていうのをできるだけ避ける努力っていうのを協力していただきたいと思っています。

取材後記

新型コロナウイルスは、感染者の一部が多くの人に感染を拡大させてきたとみられていて、
クラスター(感染の集団)の端緒を捉え、早期に対策を講じることで、感染の拡大を遅らせることができるというもの。
国内では東京都など都市部を中心に感染経路が追えない事例が多発し、4月16日には緊急事態宣言の対象地域が全国47都道府県となった。
後がない状況に追い込まれた中でも、必死に活動を続けるクラスター対策班。私たちも密閉・密集・密接の3蜜に注意するなど、もう一度行動を見直していく必要がある。

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April 19, 2020 at 01:25AM
https://www.fnn.jp/articles/-/34063

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