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Wednesday, July 22, 2020

フェリーの新造船は大部屋を無くして 変わる移動手段のカタチ - 産経ニュース

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、交通機関も「新しい生活様式」に合わせた対策で、乗客を取り戻すための模索を続けている。集団感染が起きたクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」のトラウマもある旅客船業界では、フェリーの大部屋をなくすなどソーシャルディスタンス(社会的距離)が取れるように新造船を設計変更する動きも出てきた。一方、タクシーやリムジンバスなどでも車内の空調システムを変更するなど、各社が感染症対策に追われている。 (高橋義春)

ダイヤモンド・プリンセスのトラウマ

 大阪・南港と北九州市の新門司港を結ぶ名門大洋フェリー(本社・大阪市西区)は、4、5月の旅客数が前年同期比で各9割減の約3千人に落ち込んだ。緊急事態宣言や都道府県境をまたぐ移動制限の解除で徐々に利用者は戻り始めているというが、6月の旅客数は昨年から約80%減の約4700人と低迷した。

抗ウイルス・抗菌の処置をしながら客足を戻そうと模索する名門大洋フェリー(名門大洋フェリー提供)
抗ウイルス・抗菌の処置をしながら客足を戻そうと模索する名門大洋フェリー(名門大洋フェリー提供)
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 「貨物トラックなどの物流利用については多少の影響はあるものの、減少幅は少ない。深刻なのは、旅客数の激減です」と山本哲也常務執行役員は話す。 

 横浜港に入港し、大規模感染が起きたダイヤモンド・プリンセスの影響も、旅客船業界に大きな影響を与えた。「船は危ないのでは」という声も依然多い。

 そこで同社では、来年12月と令和4年3月に就航を予定している大型船2隻の設計を、当初計画から大幅に変更することを決めた。一般旅客用大部屋(40席)をとりやめ、仕切り付きのシングルベッド(28席)を設置するほか、2段ベッド(56席)の代わりにシングルベッド(28室)を設ける。定員数は減るが、感染拡大防止策を重視しての決断だった。

 就航中のフェリーに関しても、客室構成を変更し、一般旅客用大部屋の定員40人を14人に絞り、利用者間のスペースを確保。乗客の手が直接触れる手すりや壁、エレベーターのボタンなどの消毒を徹底し、空気循環を行うなど船内環境の向上を図っている。7月15日から再開したレストランでも、これまでの大皿でのバイキング形式を取りやめた。山本常務執行役員は「コロナの感染防止にはできる限りの対策で臨み、フェリーは安心で安全な乗り物だという状況をお客さんとともにつくっていきたい」と強調する。

船内レストランでも抗ウイルス・抗菌加工の無機溶剤を噴霧するサービスクルー(名門大洋フェリー提供)
船内レストランでも抗ウイルス・抗菌加工の無機溶剤を噴霧するサービスクルー(名門大洋フェリー提供)
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地域の足としての使命

 大阪府内に4営業所(保有台数約340台)を持つ近鉄タクシー(本社・大阪市天王寺区)は、新型コロナの影響で利用客が激減した4~5月の稼働率は前年同期比69%となり、営業収入は同6割減となった。

 コロナ禍で業界全体が苦境に立たされ、デリバリーを請け負う「出前タクシー」も登場した。しかし、近鉄タクシーの小谷和也業務部長は「(食品配達の代行などについて)検討はしたが、人の足となって役立つのがタクシー」と話し、新規事業参入を見送った。

 常務班長を務める狩野信夫さん(63)は今年4月以降の厳しい状況について「夜は人通りがなく、昼は病院に行く高齢者らの利用はあったがそれでも数組だけ。まさに街の景色が一変した」と話す。平日は2時間、土日は4時間街中を走ってようやく1組の乗車がある状態だった。

「乗務員として全力でお客さんの役に立っていきたい」と語る狩野信夫さん=大阪市天王寺区
「乗務員として全力でお客さんの役に立っていきたい」と語る狩野信夫さん=大阪市天王寺区
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 給与は売り上げが収入に直結する完全歩合制。どん底に陥ったのは5月だった。朝8時から深夜2時まで働いても売り上げ2万円に届かず、コロナ前の半分以下に。「同僚の中には1日の売り上げが1万円以下の人もいて、転職や副業についての相談も受けた」と明かす。

 緊急事態宣言の解除後は徐々に街の人出が戻り始め、6月は1日平均20組ぐらいの乗車となり売り上げも約4万円と増えつつある。狩野さんは「外出自粛要請のもとでよく乗ってもらったのはお年寄り。乗車率は低かったが、世の中の役に立っていることも実感できた」と話す。

 同社では乗務員のマスク着用はもちろん、空気清浄装置を導入するなど感染症対策を行う。小谷業務部長は「運転手をはじめ、社員全員がどん底の厳しい時期を経験しているので、衛生面や健康管理などついての意識は非常に高い」と断言している。

空港線は苦戦続く

 一方、空港と都市間をつなぐリムジンバスは、利用者数をなかなか戻すことができないでいる。大阪空港交通(大阪府豊中市)の運輸部企画課、内海篤史課長は「運行再開に向けては、航空会社との情報収集や連絡をとりながら協議を重ねているが、まだ欠航も多く、運休路線の大幅な再開はまだ」と話す。

バス車内の床などを噴霧器での消毒を行う大阪空港交通のスタッフ=大阪府豊中市
バス車内の床などを噴霧器での消毒を行う大阪空港交通のスタッフ=大阪府豊中市
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 大阪(伊丹)空港と関西国際空港を関西の主要ターミナル駅やUSJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)などと結ぶ路線を中心にリムジンバスを運行するが、2月のUSJ線の休止を皮切りに、4~5月には大阪空港路線(計14路線)の一部や、大阪空港と関西国際空港を結ぶ全路線の運休を行ってきた。保有する105台の稼働率は一時期約50%となり、5月の運送収入は前年同月比9割減にまで落ち込んでいる。

 6月中旬から順次、運行を再開しはじめており、7月20日にもUSJ路線を再開したが、アフターコロナの公共交通機関としての新しいあり方を模索する取り組みは今後も続く。内海課長は「抗菌・抗ウイルスなどを使った感染防止策などを図っていきたい」と話している。

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July 22, 2020 at 07:00PM
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