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Monday, January 25, 2021

流出した“シングルスクリーン版Windows 10X”から見えるもの - ITmedia

apaterpengaruh.blogspot.com

 以前の本連載で、2021年においてWindowsの世界で起こるトピックをいくつか紹介したが、中でも比較的多くのユーザーにとって影響が大きいと思われるのが「Sun Valley」ならびにWindows 10Xの話題だ。今回はこのうち、1月中旬にリーク画像が大量に出回った「Windows 10X」をピックアップしよう。

流出したWindows 10Xはどのようなものなのか

 本連載で何度か触れているが、Windows 10Xは2段階でのリリースが予定されている。最初は「シングルスクリーン用Windows 10X」で、こちらは「Chrome OS対抗」を目指した製品となる。次が“本来は”Windows 10Xとして当初リリースが予定されていたもので、2画面折りたたみ式デバイス「Surface Neo」とともに発表された「2画面対応でモバイル利用を想定したWindows 10X」となる。

 今回出てきたのは、前者の「シングルスクリーン用Windows 10X」の方で、おそらく「RTM(Release To Manufacturing)」と呼ばれるバージョンに近い“ほぼ完成直前版”が何らかの形でインターネット上にリークされたものと考えられる。

 どのような形で流出したのかは不明だが、Twitterでの流れを見る限り、最初に反応したのはイタリア語圏でWindowsの最新情報を発信しているAggiornamenti Lumiaのアカウントで、流出したビルドの存在をほのめかすツイートを行っている。

 次にWindows Centralのザック・ボーデン氏が、すぐさま流出したイメージファイルを実際にインストールして最初の画面をTwitter上に放流しており、同氏に続く形でWindowsかいわいで活躍する主要ウォッチャーたちが次々と画面を公開している。

 スクリーンショットが最も豊富なのはポール・サーロット氏の記事で、同氏のThurrott.com上(1月17日以降)に大量の画面が掲載されているので興味ある方は参照してほしい。

 各人が紹介しているスクリーンショットや記事を拝見する限り、Windows 10Xの特徴はいくつかあるが、最初に気付くのはセットアップ画面だろう。

 「OOBE(Out Of Box Experience)」と呼ばれる初期セットアップ画面がアニメーションを交えた新しい流れになっており、質問項目が通常版のWindows 10に比べて非常にシンプルになっている(確認事項をしつこく見せてくる流れはあるが……)。

 OOBEの大まかな流れはThe Vergeのトム・ウォーレン氏の動画にもあるが、1点重要なのはNeowinでリッチ・ウッズ氏が指摘している「Microsoftアカウントなしでのセットアップは行えず、オフライン状態ではセットアップできない」という部分だろう。これはWindows 10Xが一種の「クラウドOS」である点を示唆している。

Chrome OS対抗のWindows 10Xをどう見るか

 次にメイン画面の方を見ていく。Windows 10X上で動作するアプリの数々は、既存のものほぼそのままだが、OS本体の“シェル”部分は大きく変化している。タスクバーの部分は非常にシンプルになり、スタートメニュー(スタート画面)も簡素だ。

 詳細はサーロット氏の記事を参照いただきたいが、スタート画面からアプリを起動するごとにアイコンがタスクバー上に増えていき、それを切り替えるだけの“スイッチャー”として機能している。通知や設定画面も非常にシンプルで、いじれる項目はそれなりにあるもののWindows 10よりは少ないという感じだ。

 コントロールパネルやコマンドラインは存在せず、呼び出しも行えない。また標準はタブレットモードに近いインタフェースになっており、画面分割は行えるものの、いわゆる「ウィンドウ操作」のような仕組みはないように見える。あくまでWindowsの“モダンな”アプリが使える簡易版Windows 10と考えればいいのかもしれない。

Windows 10Xのスタート画面(出典:Thurrott.com)

 より重要なのは、現時点においてWin32アプリケーションをWindows 10Xで動作させる方法がない点だ。ウォーレン氏の記事によれば、開発者モード限定で“コンテナ”機能の実装を進めている段階だが、現時点でWindows 10X上でデスクトップ版アプリケーションを動作させる方法はないという。

 このあたりの話題は事前の情報通りだが、Microsoftの意図として当初のWindows 10Xのターゲットが「特定アプリケーションのみを利用するファーストラインワーカーや教育用途向け」という部分にあり、Win32サポート自体の優先順位が低いのだと考えられる。

 似たような試みとしては失敗に終わった「Windows 10S」があるが、こちらは単純に「Windows 10本来の機能を制限しただけの製品」であるのに対し、Windows 10Xは軽量動作を目指してユーザーインタフェースを含めて基本部分から開発された製品であり、当初の立ち位置が異なる。

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期待はできるがまだまだブラッシュアップが必要

 この点でアプリケーションの互換性を鑑みれば、話題として出てくるのが「Cloud PC」の存在だ。以前にも触れたが、Microsoft Azure上で動作する「Windows Virtual Desktop(WVD)」のコンシューマー版、あるいは一般向けバージョンが提供されるのではないかという話がたびたび出ている。

 本件を複数回報じているZDNetのメアリー・ジョー・フォリー氏が、2020年12月に米Microsoftが出した従業員募集のフレーズの中に「Cloud-Powered Windows Devices(CWD)」という開発チームの存在をキャッチアップしており、前出のOOBEでのセットアップ項目のインターネット必須という条件と合わせ、Windows 10Xそのものがクラウドと密接に結びついて動作するものである可能性が強い。

 本稿でも可能性について言及するたびに「眉唾だ」と指摘されるが、しばしばトピックに上る「Windows 10のサブスクリプションモデル(Microsoft 365 for Consumer)」も、こうした部分にリンクしているのではないかと考える。

 なお、ジョー・フォリー氏によれば、この「Cloud PC」のサービスは早ければ2021年春にも発表される可能性があるという。

 以上が、Windows 10Xで現状出ている情報をざっくりとまとめた情報だ。筆者の感想は、現状のWindows 10Xは「Chrome OS対抗」という部分では以前のWindows 10Sに比べれば戦えるレベルに達していると考える。ただし、既に組み立てられつつあるエコシステムに対し、OEMパートナー各社を抱えてどこまでMicrosoftが製品をユーザーにアピールできるのかが最大の争点だと考えている。

 同時に、今回公開されているUIは「Chrome OSライクなWindows UI」と考えれば問題ないが、本来の用途である「2画面で折りたたみ可能なモバイルデバイス」にそのまま適用するには“少々いけていない”という感想も抱いている。

 動作しているのがWindowsアプリだからしょうがないのだが、相変わらずペンのようなポインティングデバイスの利用を前提にしている印象で、2022年初頭に登場ともいわれる「Surface Neo with Windows 10X」が本当に一部を除いた比較的多くのユーザーに受け入れられるか疑問に思っている。まだまだ正式発表さえ行われていない段階であり、今後のリリースまでにいろいろ試行錯誤しながらブラッシュアップしてほしいところだ。

今後登場予定の2画面デバイス「Surface Neo with Windows 10X」

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