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Saturday, December 17, 2022

値上げの嵐、クリスマスケーキ直撃 「今までないこと」と嘆き ... - 朝日新聞デジタル

 物価の高騰が長期化し、年末商戦まっただ中のクリスマスケーキにも影響を与えている。燃料費は高止まりし、街を彩るイルミネーションでは時間を短縮する動きも。少し違ったクリスマスの風景になりつつある。

 「40年以上パティシエをやってきたが、今までにないことだ。仕入れる物すべて上がっているんだから」

 さいたま市南区の洋菓子店「パティスリー アプラノス」の朝田晋平社長(59)はそう切り出した。

 今年のクリスマスケーキは、イチゴのショートケーキを使った売れ筋のものを、昨年に比べて200円高い4400円(税込み)にした。

 ロシアによるウクライナ侵攻以降、小麦価格の高騰が続く。朝田社長によると、チョコレートや果物のピューレといった海外から輸入している原料は1・5倍以上になっているという。加えて、ケーキを置くトレー、箱などの梱包(こんぽう)材も軒並み値上げの嵐だ。

 埼玉県洋菓子協会の会長も務める朝田さんは、沈痛な面持ちだ。

 「利益率を下げ、営業努力をしてきたが、耐えきれなかった。洋菓子店みんな苦労している」

 帝国データバンク百貨店や洋菓子店など計100社を調べたところ、今年は昨年から平均209円アップし、4040円に。原材料費の高騰が大きな要因と分析している。

 実際、ショートケーキを彩るイチゴを栽培する農家も厳しい状況だ。

 さいたま市緑区の「美園いちごランド」は、形、大きさ、色ツヤ、硬さにこだわり、一粒ずつ丁寧に収穫している。

 イチゴはビニールハウスでの温度管理が重要。岡田徹代表(42)によると灯油と重油を年間400万円ほど購入してきたが、今年の価格は1リットルあたり昨年比で30円ほど値上がりして110円という。「今年は100万円ほど増えるのでは」と懸念する。

 肥料も高騰し、昨年の1・5倍ほど。国の補助金があるものの補塡(ほてん)しきれず、葉っぱに吹き付けるタイプの肥料の量をギリギリに抑えながら、日照量を気にしている。

 「今日は太陽が出ますようにと、まるで神頼み。最先端の農業をやってきたつもりだけど、ここへ来てアナログに逆戻りした感じです」

 年末恒例のイルミネーションも、じわりと変化が及ぶ。

 JR川口駅前で市が15年以上続けている「かわぐち光のファンタジー」。今年も12月2日から始まり、約40本の木々に計26万球が青白く輝く人気スポットだ。

 昨年まで午後5時に点灯していたが、今年は1時間繰り下げて午後6時からにしている。担当者は「電力供給が増える午後5時台を避けた。電気代も高止まりしているので、コストを抑える目的もある」と話す。

 市議会の12月定例会で公共施設の光熱費などのため3億円近くの補正予算を組むなど、県内の自治体で光熱費の増額補正も相次いでいる。(大西英正)

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