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Monday, July 10, 2023

今までにない育毛剤開発のカギを握る成分フィセチンとは ... - livedoor

これまで「老化=自然現象」、避けられないものというイメージがありましたが、近年の研究で細胞へのダメージと老化の関係が明らかになりつつあり、老化の予防や治療の可能性に着目されています。

「健康長寿」を目指しながら、年齢を巻き戻す「エイジングケア3.0」という新しいフェーズを提案する「fracora(フラコラ)」は、最先端の生命科学情報をわかりやすく伝えるYouTube番組「生命科学アカデミー」を運営しています。

この連載では、九州大学大学院農学研究院教授・片倉喜範(よしのり)先生にアンチエイジングのキーワードのひとつとなる「エクソソーム」についてお話を伺った回を紹介します。聞き手は「生命科学アカデミー」のHIROCO学長です。(全7回の第6回)

毛を剃ったマウスにフィセチンを塗ってみた

--最近注目の「フィセチン」という成分について、片倉先生にお話を伺います。先生がフィセチンに注目されたのはなぜなのでしょうか?

片倉喜範先生(以下、片倉):育毛活性素材を探して、ポリフェノールを中心に調べているうちに、スクリーニングに残ったのがフィセチンでした。黒い毛が生えたマウスの背中をバリカンで剃って、そこに約3週間にわたってフィセチンの溶液を塗り続けていたところ、毛が生えてきた。育毛効果があったんです。

フィセチンを皮膚に塗るとなぜ毛が生えるのか。毛が生えるには、表皮から奥まったところにある毛包が活性化される必要があるのですが、なぜそこが活性されたのか、そのメカニズムに興味を持って探ってみると、「エクソソーム」*が関係していたんですね。

*エクソソーム…あらゆる細胞は、エクソソームという小さな袋を分泌する細胞を持っており、この小さな袋を、ターゲットになっている細胞に明け渡すことで、その細胞を活性化させたり、逆に抑制したりする。片倉先生は食品によってこのエクソソームの分泌を促すことで、ターゲットとなる細胞を活性化し、アンチエイジングを実現する研究をしている。

実は表皮細胞からエクソソームが出ていて、それがバルジという領域にいる幹細胞を活性化させることがわかったんです。フィセチンは、表皮細胞を活性化して、そこからエクソソームを分泌させることで育毛を誘導していたんですね。

--フィセチンという成分は耳慣れないんですけど、何に入っているんですか?

片倉:大麦若葉とか、イチゴのポリフェノールとして有名ですね。

まったく新しい育毛剤開発を目指して

--赤ワインに含まれるポリフェノール、たとえばレスベラトロールじゃダメですか?

片倉:実は、レスベラトロールもフィセチンと同時に試験をしました。フィセチンほどではないけど、育毛効果はありましたね。でもやはり、一番活性が高かったのはフィセチンです。

--赤ワインを飲もうと企んでしまいました。

片倉:飲むのではなく、塗布ですね(笑)。

--失礼しました(笑)。薄毛でお悩みの方はひじょうに多いですから、今後注目したい成分になってきますね。

片倉:育毛剤の種類はいくつかあって、それぞれターゲットが違うんです。たとえば血流改善や栄養補給で育毛を促進する育毛剤。あるいは、毛乳頭の細胞で働く男性ホルモンを疎外する育毛剤など。今回お話ししたフィセチンは、直接表皮ではたらいて、表皮の遺伝子を活性化することでエクソソームの分泌を促すという、今までにはないような機能です。

ただ、今の研究段階ではマウスが相手なので、実際に育毛剤として開発するには、それなりに浸透性のいいものとか、肌に害がないものを開発する必要があり、そこにちょっと時間がかかります。

--早めに市場にいいものがたくさん出るといいですね。最終回となる第7回では、疲労回復についてお話を伺います。

(第7回に続く)

■この回を動画で見る

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