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Tuesday, February 16, 2021

太陽の謎に迫る!ソーラーオービターが本格的な調査を開始 - ギズモード・ジャパン

apaterpengaruh.blogspot.com

恒星の秘密を解き明かせ。

太陽光の恵みなしでは生きていけない人類ですが、実は太陽そのものについてはまだまだ分からないことがたくさんあります。

太陽の活動が11年周期なのはなぜか? 太陽風はどのように発生しているのか? 太陽の一番外側にあるコロナが100万℃以上に熱されるメカニズムとは?(表面温度は約6000°C) などなど、地球環境にも大きく影響していることばかり(太陽の活動は宇宙の天気と表現されるほど)。

これらの謎を解き明かすべく、欧州宇宙機構(ESA)と米航空宇宙局(NASA)が共同で開発した太陽探査機「Solar Orbiter(ソーラーオービター)」が地球を出発したのはちょうど一年前でした。2021年2月10日時点ですでに地球と太陽との距離の中間地点に到達しており、いずれは太陽の表面からおよそ4200万kmの距離まで接近する予定です。

今後の軌道経路はこんなかんじです。

Video: European Space Agency, ESA/YouTube

ソーラーオービターが太陽へ向かう道のりは一直線ではなく、太陽の重力に引っぱられてらせんを描きながらのアプローチ。繰り返し太陽の近くを周回し、これまで考えられなかったほどの高解像度でコロナの様子を観測できると期待されています。

宇宙飛ぶ科学実験室

ソーラーオービターには全部で10種類の観測装置が搭載されていて、すでに金星・火星・地球の三つの惑星を同時に捉えた画像を送ってきたりと大忙しです。

Image: ESA

ESAによれば、10種類のうち6つの機材はリモートセンシング技術に特化しており、離れた場所から太陽のコロナを観測するのに使われます。残りの4つはソーラーオービターに飛来してくる粒子を観測し、太陽風と太陽の電磁場についての理解を深めるのに役立つそうです。

不運なことに、ソーラーオービターの門出はヨーロッパが新型コロナウィルスの第一波にのみ込まれた時期と重なりました。そのため、技術者が一時期管制室から退去せざるを得ない事態になったりして、観測装置のキャリブレーションを行なうのには大変な苦労を要したとか…。それでもミッションはスケジュール通りに進み、2020年5月30日にはソーラーオービターの極端紫外線望遠鏡が太陽のこんな姿を捉えました。

Image: Solar Orbiter/EUI Team/ ESA & NASA; CSL, IAS, MPS, PMOD/WRC, ROB, UCL/MSSL via Gizmodo US

この画像を分析した結果、地球から観測できる太陽フレアの何億倍も小さい極小フレア現象が新たに発見され、太陽の「キャンプファイヤー」として知られるようになりました。今後ソーラーオービターがさらに太陽に接近すれば、今まで見えてこなかった太陽の姿がもっと見えてきそうです。

「もっともオープンなスペースミッション」

ところで、ソーラーオービターに搭載された10機の観測装置から送られてくるデータは、すべて加工されていない「0」か「1」かの生データです。これをどう解釈するかは科学者次第。そして、より解釈の幅を広げるために、ソーラーオービターは科学史上もっとも開かれたスペースミッションであるべきだとESAのYannis Zouganelisさんは話しています。

ソーラーオービターは、これまででもっともオープンなスペースミッションのひとつであるべきだと考えています。そのため、送られてくるデータは観測装置を開発したチームだけでなくて、全世界に開かれている必要があります

Image: NASA

Zouganelisさんの言葉どおり、ソーラーオービターから送られてきた生データはこちらのウェブサイトで誰でも閲覧・取得が可能になっています。最初のデータがリリースされたのは2020年9月。データリリースと並行して、学術誌『Astronomy & Astrophysics』の電子版にもフリーアクセスやオープンアクセスの研究論文がどっさり公開されました。

「これでどの国のどの科学者にもソーラーオービターのデータにアクセスして科学的に分析することが可能になりました。もうすでに世界中で何百人という科学者たちが協力してこのユニークなデータの分析に勤しんでいます」とZouganelisさん。

誰でも情熱とノウハウさえあれば宇宙探査機のデータを分析できる時代。全人類の「目」になって太陽を観測し続けるソーラーオービターと、同じく太陽を観測し続けているパーカーソーラープローブとの連携プレイも予定されているそうで、今後ますます目が離せなくなりそうです。

Reference: ESA (1, 2, 3), NASA,Astronomy & Astrophysics

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