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Tuesday, November 21, 2023

寄せ木細工で正倉院の木画箱再現 92歳の伝統工芸士・本間さん 磨い ... - 東京新聞

高齢になっても創作意欲に燃える本間さん

高齢になっても創作意欲に燃える本間さん

 箱根寄木(よせぎ)細工の新たな表現を追求している伝統工芸士本間昇さん(92)は、正倉院の所蔵品「沈香木画箱(じんこうもくがのはこ)」を寄せ木細工で再現した新作「万字寄木木画箱」を箱根町湯本の本間寄木美術館で26日まで展示している。(西岡聖雄)

 「今までにない寄せ木に挑戦して価値を高め、次代を担う若い職人の道しるべに」と計画。16歳で寄せ木職人となってから初となる昨秋の個展を成功させた後、最高峰の木工芸術と捉えていた正倉院の木画箱を寄せ木細工で作る夢に挑んだ。

 沈香木画箱は奈良時代の作品で、当時の日本にはなかった海外の香木の沈香、象牙など極めて貴重な材料を使う。矢の羽根の形をした矢羽根、格子の目を色違いに並べる市松など、寄せ木細工でも使う模様で装飾されている。

 本間さんは15年前、正倉院展でこの木画箱を見て「こんな緻密な技術が当時にあったのか」と衝撃を受けた。写真から寸法を割り出して図面に落とし、昨年12月から5カ月かけて制作した。

 新作の木画箱は縦27・5センチ、横44センチ、高さ17・5センチ。寸法は正倉院の木画箱と同じだが、沈香や象牙の代わりに箱根の各種有色材を用いた。矢羽根や市松模様なども通常の寄せ木細工模様の半分の大きさにして、正倉院の箱と同じサイズにした。「単なる複製ではなく、寄せ木細工の技術で同じものをつくる」と、1ミリの誤差も許さない執念で臨んだ。

本間さんの新作「万字寄木木画箱」=いずれも箱根町で

本間さんの新作「万字寄木木画箱」=いずれも箱根町で

 本間さんはこれまで、ランダム模様の「古代裂(ぎれ)寄木模様」、透かし彫りの「糸目筋」などを考案。84歳の時に初めて日本伝統工芸展に出品して新人賞を獲得するなど、国内で箱根・小田原地域にしか残っていない寄せ木細工の芸術性を宣揚し、寄せ木の世界に新境地を開き続けている。今回の出来栄えには「5カ月間、休みなしで仕上げるのが楽しかった。納得のいく作品ができた」と話す。

◆26日まで箱根で展示

 同じ作風の文箱や皿なども限定制作し、展示・販売している。入館料は中学生以上500円、小学生300円。問い合わせは美術館=電0460(85)5646=へ。

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