「勉強も運動も、なにかをはじめてみても続かない……」と悩んでいる人は世の中にあふれています。「三日坊主」という言葉が古くからあるように、わたしたちにとって「習慣化」はなかなか難しいものなのです。「続けられない人」が「続けられる人」になるにはどうすればいいのでしょうか?
お話を聞いたのは、まさに習慣化のスペシャリストである、習慣化コンサルタントの古川武士さん。古川さんは「ベビーステップ」というメソッドを紹介してくれました。
習慣化が難しいのは、新たな行動に脳が抵抗を感じるから
なにか新たな習慣を取り入れようとしても、三日坊主に終わってしまう……。その要因はどんなところにあるのかというと、「脳」にあります。わたしたちの脳には「慣れないことや変化を嫌う」という特性があります。これはある意味、脳が発する危険信号といってもいいでしょう。
じつは、わたしたちの生活のほとんどすべては習慣でできています。習慣というと、それこそ勉強や運動といったちょっと特別なものをイメージする人もいるかもしれませんが、寝る時間や起きる時間はもちろん、歯の磨き方とか服のたたみ方、封筒の開け方といったものまで含めて、ありとあらゆる行動が習慣なのです。
そのできあがった習慣の塊のなかに、ある日突然まったく別の行動が入ってきてしまった。すると、「あれ? これはいままでにない行動だぞ?」「もしかしたら危険なことかもしれない!」と脳が違和感や抵抗感を覚えることで、それまでの日常に戻ろうとする力が働くのです。そして、結果的に新たに取り入れようとした習慣はなかなか定着しないということになる。
もうひとつ認識してほしいのは、新たな習慣を取り入れるということは、ただ「ひとつ」の習慣を定着させることではないということ。ひとつではなく、「ふたつ」の習慣を定着させることといえるのです。
1日に30分の勉強をするという習慣を定着させたいとします。でも、1日24時間のうちのその30分には、それまで別のことをしていたはず。たとえばそれは、ゆっくりテレビを観ることかもしれないし、ゲームで遊ぶことかもしれない。勉強をする時間をつくるには、そのテレビを観ることやゲームをやめなければなりません。つまり、「勉強をする」という習慣と、「テレビを観ることやゲームをやめる」というふたつの習慣を同時に定着させなければならないということ。習慣化というのは難しいものなのです。
初動のハードルを低く設定して、「脳をだます」
そう考えると、「この行動をしても、これまでとあまり変わらないよ」「いつもどおりだよ」というふうに、いかに脳をだますかということが大切になってきます。そうするためにおすすめするメソッドが、「ベビーステップ」です。ベビーステップとは、「ものごとをはじめる初動のハードルをなるべく低くする」というもの。赤ちゃんの1歩のように、ものごとをなるべく小さく小さくはじめるのです。
これまで読書を一切していなかった人が、ある日突然、1日に1時間も2時間も読書をはじめたとしたらどうでしょうか? 脳は、それこそ「これまでにはない行動だぞ!」と警戒し、それまでの日常に戻そうとするでしょう。
そうではなく、初動のハードルをとにかく低くしてください。読書を習慣化したいのなら、パラパラとページをめくって気になるところだけをちょっと読んでみる。あるいは、とりあえず本を開くでもいいし、本を持つだけでもいいかもしれない。その程度なら、脳は違和感を覚えないはずですよね。
また、ベビーステップはモチベーションを生み出すという意味でも習慣化に役立つメソッドです。新たな行動に脳が違和感を覚えると、わたしたちは「やっぱり面倒……」「おっくうだな……」という気持ちを抱き、モチベーションが下がってしまいます。これでは、ものごとを続けられるはずもありません。
でも、初動のハードルが低かったとしたらどうですか? 先の例なら、1時間の読書はおっくうに感じても、本を開く、本を持つということだったらできるはず。しかも、初動の時点では、面倒だと感じてモチベーションが低いままでも問題ありません。なぜなら、「モチベーションは行動のあとに生まれる」ということもあるからです。もちろん、モチベーションが先にあって行動が生まれるケースもあります。
ところが、初動の段階ではモチベーションが低くても、とにかく行動することが結果としてモチベーションを生むということがあるのです。たとえば、面倒だと思っていた仕事も、はじめてみたら意外と気分が乗ってきてすんなりとできてしまったといった経験がある人もいると思います。それはまさに、行動がモチベーションを生んだケースです。つまり、初動のハードルを低く設定することで行動に移しやすくし、その行動から生まれるモチベーションが連鎖的に次なる行動につながる。そういった効果が、ベビーステップにはあるのです。
読書や勉強を習慣化するには「時間は短く、難易度は低く」がコツ
では、ベビーステップを使って読書や勉強を習慣化する方法を具体的にお伝えしましょう。コツはふたつあります。ひとつめは「時間を短くする」ということ。たとえば15分など、読書や勉強の時間をとにかく短く設定するのです。
子どもの頃から45分とか50分の授業1コマを「1時間」として考えてきたからか、どうしても勉強というのは「1時間はやらないといけない」という意識を持っている人が多いのかもしれません。でも、そんなルールを自分に課す必要はまったくないのです。
もちろん、気分が乗ってきたら延長しても構いません。ここでおすすめしたいのは、タイマーを使うこと。タイマーを15分にセットして勉強をはじめてみる。タイマーが鳴ったときに気分が乗っていて、「もう15分たったの?」と感じるようなら延長する。そうしてあっという間に1時間が過ぎてしまったということも出てくるはずです。でも、そのように気分が乗っている状態で過ぎる1時間と、最初から「1時間やらないといけない」と自分にプレッシャーを与えて過ぎる1時間はまったくの別物ですよね。読書や勉強のはかどり具合も大きくちがってくるはずです。
ふたつめは、「難易度を下げる」ということ。なにも参考書を読んだり問題集を解いたりすることだけが勉強ではありません。英語を学びたいなら、洋画を観ることだって意識次第で十分に英語の勉強になるはず。自分が「楽しいな!」と感じることで勉強すればいいのです。
まずは時間と難易度のハードルを下げて、行動に移しすくしてみてください。そうすれば、みなさんはきっと「続けられる人」になれるはずです。
構成/岩川悟(合同会社スリップストリーム) 取材・文/清家茂樹 写真/玉井美世子
古川武士
ふるかわたけし1977年、大阪府に生まれる。習慣化コンサルティング株式会社代表取締役。関西大学経済学部卒業後、日立製作所などを経て2006年に独立。ビジネスコーチングの経験から「習慣化」がビジネスパーソンにとってもっとも重要だと考え、日本で唯一の習慣化をテーマにしたコンサルティング会社を設立。独自の習慣化理論・技術をもとに、個人コンサルティング、習慣化講座、企業への行動定着支援を行っている。『こころが片づく「書く」習慣』(日本実業出版社)、『図解 マイナス思考からすぐに抜け出す9つの習慣』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『成果を増やす 働く時間は減らす 高密度仕事術』(かんき出版)、『2割に集中して結果を出す習慣術』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『なぜ、あなたは変われないのか?』(かんき出版)、『人生の主導権を取り戻す「早起き」の技術』(大和書房)などがある。
『理想の人生をつくる習慣化大全』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)
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August 04, 2020 at 03:30PM
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「続けられない人」から「続けられる人」へ。「ベビーステップ」の絶大効果! /習慣化コンサルタント・古川武士 - マイナビニュース
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